電卓と領収書の写真
団体や法人に対して寄付を行えば、所得控除や税額控除を受けられる場合があります。控除申請の際に必要となるのが、寄付先が発行した領収書です。

本記事では、領収書の役割や寄付金控除において領収書が必要になるタイミング、その他控除を受けるために必要な書類などについて解説します。

領収書の役割とは?

領収書とは、企業等の商品やサービスに対して、代金を支払ったことを証明するためのものです。また、経費の二重請求や、プライベートで利用した商品・サービスの代金請求などの不正請求を防ぐ役割も担っています。

領収書の保存義務

領収書は企業で業務上発生した経費を精算するときや、個人事業主が確定申告を行うときに必要になります。経費精算や確定申告が終わった後も、領収書は捨てずにきちんと保存しておかなければなりません。なぜなら、税務署の税務調査が入ったときに、領収書の提示を求められる可能性があるからです。

法人の場合は領収書の保存期間が7年とされていますが、欠損金が生じた年度のみ保存期間は10年に延長されます。一方、個人事業主の場合、白色申告をされている方であれば5年、青色申告をされている方は7年となります。

領収書として機能する条件

領収書として認められるためには、以下の項目が記載されていることを確認しましょう。

  • 「領収書」のタイトル
  • 代金を支払った日付(西暦・和暦どちらでもよい。年月日は省略しない)
  • 宛て名(企業名や支払者名の正式名称)
  • 但し書き(購入した商品名やサービスの内容)
  • 金額(税込の金額)
  • 収入印紙(購入金額が50,000円以上の場合は収入印紙の貼付が必要)

寄付金控除申請で領収書が必要なタイミング

カレンダーと申告書の写真

国や地方公共団体、慈善団体などに寄付をしたときには、寄付した金額の全額または一部について控除を受けることができます。寄付金控除を申請する際は領収書が必要になりますが、どのタイミングで必要になるのでしょうか。

寄付金控除申請の流れ

寄付金控除の申請は、基本的に確定申告で行います。寄付金控除を申請する際の流れは以下のようになります。なお、ふるさと納税を利用された方で、確定申告や住民税の申告が不要な方は、寄付先の自治体に申告特例申請書を提出すれば問題ありません。

① 寄付金控除の対象となる団体・法人かどうかをチェックする

国や地方公共団体は寄付金控除の対象となりますが、法人の場合は対象とならないところがあります。具体的には、認定NPO法人や公益社団法人・公益財団法人、社会福祉法人への寄付は対象となりますが、認定NPO法人ではないNPO法人などへの寄付は対象とならないので注意しましょう。

② 寄付金控除の対象となる寄付かどうかをチェックする

リサイクル買取業者を通じた寄付や街頭での募金活動での寄付など、領収書が発行されないものは寄付金控除の対象とはなりません。また、寄付によってリターンや総会での議決権などを得られるタイプのものは、対価性があるとして寄付金控除の対象とならないケースが多いので、事前によく確認するようにしましょう。

③ 確定申告をする時期までに領収書が届くかどうかを確認する

寄付金控除を受けるには、給与所得者でも確定申告をしなければなりません。確定申告期間は毎年2月16日から3月15日までなので、遅くとも2月末までには寄付金控除申請に使用する領収書が手元に届くかどうか確認しましょう。

④ 確定申告書を作成する

領収書が届いたら、確定申告書を作成します。確定申告書の様式は、最寄りの税務署で受け取ることも可能です。また、国税庁のウェブサイトからダウンロードすることもできます。さらに確定申告書は国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」で、オンライン上で作成することも可能です。

⑤ 税務署に提出

確定申告書を領収書とともに税務署に提出します。管轄する税務署に直接持参しても、郵送してもよいでしょう。また、e-taxを使って電子申告もできます。提出前には提出書類のコピーを取っておくと次年度の参考になります。

領収書に不備があった場合は?

領収書を受け取ったときに、宛て名が空欄もしくは「上様」になっている、収入印紙がないなどの不備があることがあります。領収書に不備があった場合でも、無効となるわけではありません。
しかし、内容が不明確なものがあれば税務調査の際に指摘されることもありますので、不備があった場合は発行元に修正を求めるようにしましょう。

その他に、帳簿に領収書をもらった相手の名称や日付、購入した商品・サービスの内容を記載しておく、クレジットカードの明細や納品書を保存しておくなどの対策を取っておくとよいでしょう。

寄付金控除申請において領収書以外に必要なもの

寄付金控除申請を行うときは、寄付先の団体などが発行した領収書以外にも必要な書類があります。

法人の場合

法人の場合は、以下の書類が必要になります。

  • 寄付金控除や寄付金特別控除(税額控除)に関する事項を記載した確定申告書
  • 寄付金の損金算入に関する明細書(1事業年度に寄付をした団体や金額などのリスト)
  • 寄付先の団体などから交付された寄付金の受領証

個人の場合

個人の場合は、以下の書類が必要になります。

  • 寄付金控除や寄付金特別控除(税額控除)に関する事項を記載した確定申告書
  • 寄付先の団体などから交付された寄付金の受領証
  • 政治活動を行う団体に寄付をした場合は、選挙管理委員会等の確認印のある「寄付金(税額)控除のための書類」
  • 特定公益増進法人に寄付をした場合は、法人が適格であることの証明書の写しや認定書の写し

寄付をしたら領収書は必ずもらいましょう!

寄付金による税額控除を受ける場合は、寄付金控除の対象となる団体に寄付をした上で、領収書を保管しておくことが重要です。また、受領証などの書類も提出が求められる場合は、必要な書類を確認の上、漏れのないよう確定申告を行いましょう。