リハビリテーション関連団体に特定寄附信託をするメリット
近年、特定寄附信託を取り扱う金融機関は増えつつあり、「社会貢献がしたい」と考える個人が信託として手軽に寄附できる時代となりました。また、寄附先もさまざまで、リハビリテーション関連団体などを選択することも可能です。
そこで本記事は、特定寄附信託の概要や仕組み、リハビリテーション関連団体に信託するメリットなどについて詳しくご紹介します。
特定寄附信託による寄附とは?
まずは、特定寄附信託の概要と仕組みについて確認していきましょう。
そもそも信託とは何か?
信託とは、財産を信頼する人に託し、大切な人や社会のためなど自分の希望に沿って運用・管理してもらう行為をいいます。信託は大きく分けて「個人のための信託」、「法人のための信託」、「公益・福祉のための信託」の3つに分けられ、それぞれ特徴が異なります。
<個人のための信託>
子供の誕生日や進学、就職、結婚、出産など、自分の大切な人のために活用。
<法人のための信託>
従業員の年金や財産形成、企業の資金調達など、幅広いビジネスシーンに活用。
<公益・福祉のための信託>
社会福祉や環境保全、福祉団体の支援など、福祉や公共の利益目的に活用。
近年ではリハビリテーションへ関連団体の信託が注目されており、寄附金控除や税額控除が受けられるといったメリットもあります。
特定寄附信託とは?
特定寄附信託は、2011年の税制改正によって新しく創設された信託制度です。主に社会貢献活動に取り組む団体への寄附を目的としており、信託すると毎年1回信託元本が分割され、寄附先に寄附がされます。
特定寄附信託の仕組み
基本的には信託先の金融機関等が指定するリストから選択する方法が一般的ですが、事前の審査等を条件としてリスト外の寄附先を選べるようにしている金融機関もあります。
- 寄附先が自由に選べる・・・三井住友信託銀行 (信託報酬あり)
- 寄附先が指定されている・・・みずほ信託銀行、三菱UFJ信託銀行
また、寄附先の公益活動状況は定期的に報告がされるため、自分が寄附したお金がどのように使われたのかも確認することが可能です。
リハビリテーション関連団体に特定寄附信託をするメリット
近年ではリハビリテーション関連団体へ特定寄附信託を行う人が増えていますが、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、主なメリット3つについてご紹介します。
寄附する公益法人等の指定や変更が可能&利用しやすい
一つ目のメリットは、寄附先の指定や変更が手軽にできるという点です。
信託期間は5年以上10年以下の範囲内で1年ごとに決めることができ、寄附に関しては毎年1回になります。そのため個人でも利用しやすく、継続的に寄附することが可能です。
控除を受けることができる
特定寄附信託で運用した収益は非課税になり、信託元本と併せて寄附されます。また、特定寄附信託を通じて公益法人等に寄附された寄附金のうち、運用収益以外の元本に相当する部分は寄附金控除の対象になるため、税制上でもメリットが得られるのです。
ただし、寄附金控除を受けるには確定申告が必要になるので、忘れないように注意しましょう。
寄附先の公益法人等から定期報告を受け取れる
近年ではさまざまな福祉団体が寄附を受け付けていますが、活動状況や寄附金の用途を明確に公表しているところは多くありません。そのため、寄附をしても「本当に困っている人のために活用されたのか」という疑問が残るものです。
しかし、特定寄附信託の場合は、寄附先となる公益法人等から定期的に報告が受けられるため、自分の寄附がどのように使われたのかを理解することができます。
リハビリテーション関連団体への特定寄附信託手続きについて
以下は、特定寄附信託を利用する際の一般的な手順になります。
<特定寄附信託の利用方法>
- 1.信託銀行など(受託者)と公益法人等における契約
- 信託銀行など(受託者)は、公益法人等と寄附に関する契約を結び、寄附先のリストを作成します。
- 2.受託者への信託
- 委託者は、信託銀行等と特定寄附信託契約を結び、金銭を預けます。
- 3.必要書類の提出
- 委託者は、信託銀行等を経由して特定寄附信託申告書等を税務署に提出します。
- 4.寄附先の指定
- 委託者は、信託銀行等が契約した公益法人等の中から寄附先を選びます。
- 5.指定した寄附先に寄附される
- 信託された金銭は、運用収益とともに寄附先へ寄附されます。
- 6.活動報告
- 公益法人等は、委託者に寄附受領証の送付や活動状況の報告などを行います。
こうして見ると複雑そうに見えますが、最寄りの信託銀行に相談すればスムーズに手続きを行うことが可能です。
特定寄附信託を活用し社会貢献!
特定寄附信託は、支え合い活気ある社会を実現するために誕生した新しい信託制度です。寄附先の公益法人等は手軽に指定・変更ができるほか、最寄りの信託銀行で手続きができるため、誰でも手軽に利用することが可能です。また、特定寄附信託を通じて公益法人等に寄附された寄附金のうち、運用収益以外の元本に相当する部分は、寄附金控除の対象にもなりますので、賢く社会貢献ができます。
「公益団体等の寄附って、実際何に使われているかわからない」と疑問を抱いている人も、特定寄附信託であれば定期的な活動報告が受けられるので、寄附がどのように使われているのかをしっかり把握できて安心です。