療法士が足を施術している様子

私には長年同居している80代の祖父がいます。祖父は少し前から、食事中に箸を落としてしまったり、ペットボトルの蓋をうまく開けられなかったりするようになってきました。平坦なところで躓くことも頻繁にあります。全体的に動作が遅くなったようにも感じられました。少し元気がなくなってきたようにも感じられたものです。

祖父はもう80歳を超えていますので、このような症状も加齢に伴う自然な衰えと考え、私も含め家族はあまり気にしていませんでした。祖父本人もそこまで深刻には考えていなかったように思います。ただ、あまりにもそのような場面を見かけることが増えてきたこと、さらに手の震えもあるようだったので、一度、祖父を病院に連れていこうということになりました。躓くことも増えてきたため、転倒して骨折などの怪我をするのが心配だったということもあります。祖父に聞いたところ、最近になって以前よりもかなり身体が思うように動かなくなってきた自覚はあるとのことでした。

最寄りの大学病院で診察して頂いた結果、祖父は「パーキンソン病」と診断されました。パーキンソン病という病気の名前は知っていましたが、自分の身近でこの病名を聞いたのは初めてです。医師の説明によると、パーキンソン病とは神経疾患の一種で、高齢になればなるほど発症率は高くなる病気ということでした。

パーキンソン病の代表的な症状として手の震えや、動作が緩慢になるといったことがあると教えて頂きました。最近の祖父をまさにそのような症状が出ていたので、パーキンソン病という診断結果にも納得できました。

幸いなことに祖父のパーキンソン病は、まだ初期の段階だったようです。医師と相談の結果、入院はせず自宅で生活しながらリハビリに取り組んでいくことになりました。

神経性疾患と呼ばれる病気全般に言えるようですが、パーキンソン病は放置しておくと回復することはなく、症状が進行していく病気だそうです。症状の進行をなるべく遅くするためには、日々のリハビリが効果的とのことでした。

パーキンソン病には、手術など外科的な治療方法もあるそうです。しかし、祖父は高齢ということもあり体力も低下しています。そのため、外科的な治療法は行わず、リハビリと服薬で対処していきましょうということになりました。

医師からは、「パーキンソン病の症状が進行した場合、将来的に入院が必要となる可能性はありますが、まずはデイサービスと在宅でリハビリをしていきましょう。ご家族と一緒にいる時間が長いほうがおじいちゃんも安心なのでは。」と言って頂きました。私としても、ずっと家族と一緒に暮らしてきた祖父には入院してもらうより、今まで通り自宅で過ごしてもらったほうが安心なので、医師の気遣いは嬉しかったです。

その後、デイサービス施設でのリハビリは週2回行っています。担当の先生指導のもと、歩行訓練や、関節の可動域を維持するためのリハビリに取り組んでいます。関節の可動域を維持するためにも、リハビリは大切とのことでした。リハビリ等で日常的に関節を動かさないと、可動域が狭くなってしまうようです。関節が硬くなってしまうと、筋力があっても身体が動かなくなってしまうそうなので、祖父にはしっかりリハビリをしてもらいたいと思いました。また、日常生活に支障がないように、歩行訓練にも力を入れました。

パーキンソン病の症状が出ている身体を動かすリハビリは大変そうですが、生活の質を落とさないためにも、祖父には頑張って欲しいです。担当の先生からは、リハビリは根気強く続けていくことが大切だと言われました。

自宅でも毎日、無理のない範囲でリハビリをしています。関節の可動域を維持するためのストレッチ運動は日課となりました。天気の良い日は、歩行訓練と気分転換を兼ねて家族が付添って近所を散歩することもあります。

以前は漠然と加齢による衰えだと思っていた祖父の症状ですが、今はパーキンソン病の症状であると明確になったため、私たち家族もそれを踏まえてしっかりサポートできるようになりました。

現在、祖父は自宅で私たち家族と一緒に暮らしています。週2回、デイサービスでのリハビリとマッサージも継続中です。自宅でできるリハビリも頑張っています。また、1ヶ月に2回ほど通院して医師の診察も受けています。幸いなことに、今のところ症状は進行することなく落ち着いているようです。毎回、通院の際には薬を処方してもらって自宅で服薬しています。

デイサービスや通院がない日は、友人と大好きな囲碁や将棋を楽しんだり、孫と話したりして充実した日々を過ごしているようです。今後、パーキンソン病の症状が進行していくことへの不安はあります。しかし、悲観的にならず、家族みんなで祖父をサポートしていきたいです。いつかは入院しなければならない時がくるかもしれませんが、可能なうちは自宅で一緒に過ごせたらと考えています。そして、祖父の生活の質、所謂QOLをなるべく長く維持して、楽しく過ごせたらと思います。