車いすのお祖父さんがリフトで車に乗っている所

「親戚のおじさんが脳卒中で倒れた」と連絡が来たときは本当に驚きました。その場に居合わせた人の話によると、おじさんは勤務中に「目眩がする」と言ってしゃがみ込み、その後意識を失ってしまったそうです。親戚のおじさんは60代で、まだまだ元気に働いている人でした。

救急搬送されたおじさんは1週間後に意識を取り戻しました。意識を取り戻してからの数日間は座ることもできない状態で、ベッドに寝たきりとなってしまいました。また、コミュニケーションにも支障をきたしていることがわかり、さまざまな後遺症が出ているのは素人の私にもはっきりとわかりました。明朗快活だったおじさんのイメージからは程遠い姿にショックを受けたのを今でもよく覚えています。

当事者であるおじさんも、突然襲ってきた病とその後遺症に大きなショックを受けていたようでした。しかし、日にちが経つにつれて徐々に気持ちを切り替えて前向きに頑張っていこうと思えたようです。

右半身麻痺と軽い言語障害が確認され、医師からは「発症前の状態に戻るのは難しいかもしれない。しかし、リハビリをすることである程度の回復は見込める」と言われました。

リハビリを開始するのはなるべく早めがいいということだったので、寝たきりの状態でもできるリハビリから始めていきました。言語障害については話しかけたり文字を見せたりすることが効果的と聞いたので、面会に行ったときはおじさんの負担にならないように気をつけながら、なるべく話しかけるようにしてコミュニケーションをとりました。また、リハビリと並行して、リハビリ担当の先生によるマッサージも行って頂きました。

入院から数週間が経過して、車椅子に乗ることはできるようになりました。そこで、まずは車椅子に乗って立ち上がる訓練を始めました。最初はなかなかうまくいきませんでしたが、何度も繰り返し行うことによって徐々にスムーズに立ち上がれるようになっていきました。

立ち上がる訓練を開始して1ヶ月、立ち上がるだけなら自力でもできるようになりました。そこから、さらに身体の機能を回復させるため、本格的なリハビリを開始することを決めました。

おじさんは当初、思い通りに動かない自分の身体に対して苛立ちや絶望を感じたこともあったようですが、この段階まできた頃にはだいぶ気持ちが前向きになっていました。地道にリハビリを頑張った結果、リハビリ担当の先生も驚くくらいの速さで症状が回復していったようです。入院当初は寝たきりだったおじさんが、歩行訓練のおかげでかなりゆっくりとではありますが、支えがあれば歩けるようにもなりました。

この頃には病室だけではなく、病院内にあるリハビリ室でリハビリを行うようになっていました。入院以来、ずっと病室に籠もりきりだったため、良い気分転換にもなったようです。また、リハビリ室ではおじさん以外にも多くの患者さんがリハビリを行っており、その姿を見て「自分も頑張らねば」という気持ちにもなったと語っていました。担当の先生について頂けるリハビリの時間以外も、病室で自分だけでできるリハビリ運動をしたり、病院の廊下を歩いてみたりもしていたようです。

親戚のおじさんは、右麻痺で1種2級と判断されたので、障害年金の手続きをしました。障害年金を受給できることになり、入院や今後の生活における金銭面での不安が軽減されたことによって、より治療とリハビリに専念できたようです。

リハビリを開始して2ヶ月後、従来のリハビリに加えて、作業療法も開始しました。退院後の日常生活を考慮して、箸を持つ動作や、料理をする動作などの訓練を行いました。また、職場復帰も念頭に置いて、より細かい作業ができるようになることを目指す訓練や、字を書く訓練などにもチャレンジしました。

約半年の入院生活を経て退院する頃には、杖を使って自力で歩けるようになっていました。退院して即、仕事に復帰というわけにはいきませんでしたが、日常生活についてはほぼ自力で日々を過ごしているようです。

現在は週に2回ほど、デイサービスセンターに通ってリハビリをしています。以前のように自分で車を運転するのは難しいので、親戚のおばさんが車で送迎をしているそうです。デイサービスセンターに通うのは、担当の先生にリハビリを指導してもらえるメリットに加え、良い気分転換にもなっているみたいでした。

デイサービスセンターでのリハビリに加え、自宅でも自分でできるリハビリを地道にやっているそうです。職場復帰するまでにはもう少し時間がかかりそうですが、寝たきりの状態からここまで回復できたおじさんなら、いつか職場復帰もできるのではと希望と期待を持っています。

親戚のおじさんは自宅で療養生活を続けながら、今も懸命にリハビリを頑張っています。医師の言う通り、リハビリをしても完全に元通りに戻るのは難しいのかもしれません。しかし、できる限り元に近い状態まで戻ることを願っています。前向きに頑張っている親戚のおじさんを、これからも応援していきたいと思います。