在日外国人ろう者のための日本語教室
Japanese Class for Deaf Foreigners living in Japan
在日外国人ろう者を取り巻く背景と課題
日本に在留または永住する外国人は増加傾向にあります。明確な統計はないものの、在日外国人ろう者も例外ではなく、増加傾向にあると言われています。しかし、その多くは、書記日本語の習得に苦労を強いられており、コミュニケーションに困難を抱えています。
その原因として、以下の3つが考えられます。
① 外国人ろう者を対象とした日本語教室が非常に少ない
一般的な日本語教室は、「日本語を話す・聞く」ことに主眼をおいた耳の聞こえる外国人を対象としたもので、外国人ろう者のニーズである「書く・読む」ことに特化した指導がされておらず、ニーズを満たしていない。
② 学習環境においての孤立
外国人ろう者のニーズである「読む・書く」に特化した指導を一般的な日本語教室で行ったとしても、他の受講者たちとの音声での会話に加わることができなかったり、指導者との意思疎通がうまくとれなかったりして、孤立してしまい、学習の継続が困難になる。
③ 外国人ろう者を指導する人材の不足
外国人ろう者が効率よく日本語を学ぶためには、従来の日本語教育の手法に熟知しているだけではなく、「耳が聞こえない/聞こえづらい=自然習得は不可能」という障害特性を理解し、日本手話を効果的に用いて指導できる人材が不可欠であり、これらの要件を満たす指導者は数名しかいない。
このように、在日外国人ろう者は、日本に住んでいながら日本語を学ぶ機会が得られず、コミュニケーションの問題に直面し、その結果として、本来活用できる社会資源にアクセスすることもできず、極度の情報弱者となっています。
また、日本に暮らす外国人ろう者は、その母数が少ないことに加え、見た目だけではその困難さが理解されないため、その存在や課題が社会に十分認知されていないことも、彼らの抱える大きな課題の1つです。
目的と事業概要
本事業では、以下の在日外国人ろう者が抱える課題を解決するために取り組んでいきます。
- ろう者の障害特性を理解し、日本手話を効果的に用いて日本語を指導できる講師により、在日外国人ろう者が生活者として必要な日本語を安心して学べる場を提供します。
- 多くの在日外国人ろう者のニーズに応えられるよう、指導できる人材を養成していきます。
- 在日外国人ろう者が必要な情報へのアクセスを可能にし、生活の質の向上に努めます。
- SNSでの発信や報告会等の開催により、在日外国人ろう者の存在を多くの人に知ってもらい、彼ら、彼女らが生きやすくなる社会の実現に貢献します。
各クラスについては、以下をご覧ください。
実績
【令和4年度】
2022年4月2日「在日外国人ろう者を対象とした日本語教室」初級クラス開設。ダスキン愛の輪基金より助成を受け、木曜日クラス、土曜日クラスを開講し、各クラス全48回(2時間/回)実施した。受講者10名。翌年4月1日には、外国人ろう者や日本人ろう者、日本語教師の方々を含め、総勢57名の参加によるプロジェクト報告会を開催した。
【令和5年度】
ダスキン愛の輪基金及び文化庁(令和5年度「生活者としての外国人」のための特定のニーズに対応した日本語教育事業地域日本語教育実践プログラム)より助成を受け、土曜日に日本語教室を開講。受講者8名。前期は15回(2時間/回)、後期は2クラスに分かれ、各クラス14回(110~120分/回)実施した。翌年2月23日には、「在日外国人ろう者を知ろう!~日本語教室の取組みを通して~」と題し、外国人ろう者を取り巻く社会課題や外国人ろう者への日本語指導について知るイベントを開催した。総勢69名の参加者が集まった。
※この在日外国人ろう者を対象とした日本語教室の開催は、当協会が外国人ろう者に対する日本語指導の実績があることから、「撫子寄合」の代表である廣瀬氏より「首都圏に暮らす外国人ろう者の日本語指導」についての相談を受け、実施したものである。
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