お祖父さんが手すりでリハビリしている様子
リハビリテーションとは、病気やケガ、加齢などによる後遺症や障害を持つ方が社会復帰を目指すために行う訓練のことを言います。その訓練時に、患者さんに寄り添い、適切なサポートを行っているのがリハビリテーションに関する職種に就く人たちです。

今回は、リハビリテーションに関する3つの専門職とその他の職種についてご紹介します。

リハビリテーションに関する職種とは

リハビリテーションは、医療や介護をはじめとしたさまざまな分野で必要とされているため、関連する職業も幅広くあります。身近なところで言えば、医師や看護師といった職種も、患者さんの身体の機能回復をサポートするという点ではリハビリテーションに関する職種と言えるでしょう。

しかし、一般的に言うリハビリテーションに関する職種とは、今回ご紹介する3つの専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)や、患者さんの身体機能回復に関連する仕事のことを指します。

リハビリテーションの職種①理学療法士

はじめに、理学療法士の仕事内容や実際に活躍している職場、理学療法士になるために必要な資格・要件について見ていきましょう。

理学療法士の仕事内容

理学療法士は、医師の指示のもとに、患者さんの筋力・持久力・痛みなどの心身機能や歩行などの基本動作の能力判定を行い、その結果に基づいた適切なサポートやアドバイスを行う仕事です。

理学療法士が活躍する職場

理学療法士は医療・介護分野で幅広く活躍しています。具体的な職場としては、医療機関(病院・クリニック・診療所など)や介護関連施設が挙げられます。

理学療法士になるために必要なこと

理学療法士は、国や地方自治体などが認定する国家資格です。そのため、理学療法士になるためには、毎年2月に行われる国家試験に合格して理学療法士の資格を取得しなければなりません。また、理学療法士国家試験の受験資格を得るためには、文部科学大臣指定の養成校(4年生大学・短期大学・専門学校・特別支援学校)で3年以上学び、必要な知識と技術を習得して卒業(卒業見込みを含む) する必要があります。

※既に作業療法士の資格を持っている方の場合は、養成校で2年以上学ぶことで理学療法士国家試験の受験資格が得られます。

リハビリテーションの職種②作業療法士

お祖父さんが積み木でリハビリしている様子

次に、作業療法士の仕事内容や実際に活躍している職場、作業療法士になるために必要な資格・要件について見ていきましょう。

作業療法士の仕事内容

作業療法士の仕事は、身体的な分野と精神的な分野に分かれています。どちらも医師の指示のもとに行い、患者さんの認知機能などの心身機能や、食事動作・入浴・排泄といった日常生活機能(ADL)などのリハビリテーションのサポートをするのが主な仕事です。

作業療法士が活躍する職場

作業療法士が担うリハビリテーションの対象は、身体・精神に加えて、発達期(子ども)・老年期のいずれかに障害を持つ患者さんです。そのため、作業療法士が活躍する職場は多岐にわたっていますが、代表的な職場としては、医療機関、介護施設、保険・福祉施設、各種教育機関などが挙げられます。

作業療法士になるために必要なこと

作業療法士も理学療法士と同じように国家試験を受験し、資格を取得する必要があります。作業療法士国家試験は毎年2月に行われており、受験資格を得るためには、養成校で必要な知識・技術を習得し、卒業(卒業見込みを含む)していることが求められます。

リハビリテーションの職種③言語聴覚士

言語聴覚士は、理学療法士や作業療法士と同じように、リハビリテーションに関する専門職として知られている職種です。こちらでは、言語聴覚士の仕事内容や実際に活躍している職場、言語聴覚士になるために必要な資格・要件についてご説明しましょう。

言語聴覚士の仕事内容

言語聴覚士とは、会話や発声、嚥下(えんげ/食べ物を飲み込めない)障害などのある患者さんに、言語・聴覚・摂食嚥下機能といった心身機能やコミュニケーション能力に関するリハビリテーションのサポートをする仕事です。

言語聴覚士が活躍する職場

言語聴覚士が活躍しているのは、主に医療機関(総合病院のリハビリテーション科など)です。また、高齢化が進む昨今では、在宅医療を受けている患者さんの自宅に訪問し、リハビリテーションを行う言語聴覚士も増えてきています。

言語聴覚士になるために必要なこと

言語聴覚士になるためには、国家試験に合格する必要があります。また、言語聴覚士国家試験の受験資格を得るためには、高校卒業後に指定の養成校(3~4年制)に進む、あるいは大学卒業後に指定の大学・大学院の専攻科や言語聴覚士養成校を卒業していることが求められます。

その他のリハビリテーションに関する職種

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士以外のリハビリテーションに関する職種としては、以下のような職種が挙げられます。

柔道整復師

日本古来の東洋医学の観点で、捻挫や打撲、骨折などに対して手技を用いて治療を行う

視能訓練士

視力の測定、メガネ・コンタクトの処方に必要な検査、病気やケガの予後において視力回復のために必要なリハビリテーションを実施する

義肢装具士

病気やケガで身体の一部を失ってしまった方に対し、義手や義足を制作する

このほか、理学療法士のアシスタントを行うリハビリ助手のように、特に資格を持っていなくても始められる職種もあります。

まとめ

それぞれ担当する分野は違うものの、こちらでご紹介した理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、その他の関連職種すべてに共通しているのは患者さんのリハビリテーションをサポートする仕事であるということです。

職種によっては国家資格取得が必要となるため、目指す職種がはっきり決まっている場合は、応募資格要件に合った養成校で必要な知識・実技をしっかり身に付けるようにしましょう。