皆さんは「寄付」と「寄附」、さらに「募金」や「義援金」の違いが分かりますか?これらの言葉は非営利活動で頻繁に使用されていますが、それぞれの言葉で意味が異なります。ここでは普段あまり気にしていなかった上記の言葉の意味を中心に解説します。違いがあやふやな方やよく知らない方は、これを機にぜひ覚えてください。

瓶にコインが入った写真

皆さんは「寄付」と「寄附」、さらに「募金」や「義援金」の違いが分かりますか?これらの言葉は非営利活動で頻繁に使用されていますが、それぞれの言葉で意味が異なります。ここでは普段あまり気にしていなかった上記の言葉の意味を中心に解説します。違いがあやふやな方やよく知らない方は、これを機にぜひ覚えてください。

「寄付」と「寄附」の違いとは?

一般的によく使われているのは「寄付」ですが、国税庁のホームページでは「寄附」と記載されています。では、この両者の違いはどういったところにあるのか早速見ていきましょう。

「寄付」と「寄附」は同じ意味の言葉

寄付や寄附を辞書で調べてみると【寄付/寄附】と記されており、このの言葉の意味は同じです。ただし、公共文や法令文では「寄附」、それ以外の一般的な場面では「寄付」を使うことがルールとされています。確かに、国税庁や総務省のホームページに記載されている法令文では「寄附金税額控除」や「都道府県・市区町村に対する寄附金」など「寄附」が用いられています。それに対して、新聞・テレビなどのメディアや日常生活では「寄付」を使用する機会が多いです。ですので、どちらの言葉を使っていいのか迷った場合は、公共文や法令文に関連するか否かを踏まえて判断すると良いでしょう。

そもそも寄付とは?

寄付とは、募金活動を実施している組織に金銭を贈ること指します。しかし、金銭だけでなく品物を贈ること事態も寄付の一環とされ、このことを「物品寄付」と呼びます。物品寄付にはレトルト食品、お米、文房具など、さまざまなものがあります。また、学校や図書館など公共性の高いところに品物を贈る場合は「寄贈」と言われます。

「募金」と「義援金」との違いは?

よく勘違いしやすい「募金」と「義援金」などの似たような言葉も、これを機に整理していきましょう。

意味は全く違うが同じ使われ方をしている「募金」と「寄付」

まず、「募金」とは金銭を募って集めることを言います。それに対して「寄付」とは金銭を贈ることを指します。したがって、募金と寄付は意味が全く異なります。

ですが、近年では街頭募金やネット募金に協力する人が増加した影響もあり、金銭を寄付する際に「募金する」と言うようになりました。しかし、厳密に言うと間違った言い方なので意味をしっかり理解しておくことが大切です。

「義援金」は「寄付」とは実質的に違うもの

「義援金」と「寄付」は普段同じ意味のように使われますが実際は異なります。
義援金は、災害などの被災者のために応援する気持ちを込めて金銭を贈ることを指します。赤い羽根共同募金やTV局、自治体などを経由して「被災者」に公正・平等に金銭が配布されます。
続いて寄付は、被災地で復旧・支援活動をおこなっている「団体(NPOや各種機関)」に対して金銭を贈ることを指します。主に建物の復旧や人命救助などの活動資金として活用されます。このように、それぞれ意味が異なるので支援をするときには「寄付」と「義援金」を間違えないよう注意が必要です。

日本とアメリカでの寄付市場の差

米ドル札と日本円札の写真

近年では日本でも災害に対する寄付の意識が高まり、お金を出す方も増えています。しかし、アメリカと比べると寄付金はかなり少ないのが現実です。

個人の寄付金額では日本とアメリカでは約100倍の差がある

内閣府の資料によると2002年の日本の寄付総額は2,189億円で、アメリカの22兆9,920億円 に比べると、とても低い水準となっています。
日米の寄付市場において大きな差がある原因として文化の違いと税金制度の違いがあります。まず、文化の違いから言うと、アメリカには「富める方は貧しい方に分け与えるべき」というキリスト教の精神が根付いています。ですので、多くの方が積極的に寄付をおこなっています。つまり寄付はアメリカ人にとって「日常生活の一部」なのです。

続いて税金制度の違いに関して見ていきましょう。アメリカでは多額の寄付をした方には、税金の支払いの一部が免除になる制度があります。しかし、日本ではせっかく寄付をしても税金が免除される基準がとても厳しい状況にあります。そのため、寄付をしたいという気持ちがあるのにもかかわらず免除が認められにくいことから、実際にアクションを起こすことなく諦めてしまう方も少なくありません。

寄付をした後のことを気にしない日本人

さらに、日本人は寄付した結果どのように寄付したものが使われているのか気にしない傾向が強いです。積極的に寄付をしている方でも「寄付金は何に使われているか分からない…」というケースが多いです。そのため、寄付する際には寄付先の組織や団体に関してよく知っておくことが大切です。

今後の日本では寄付をしやすい環境・意識づくりが重要

現在アメリカでは1,000万円以上の収入がある方の約90%は何らかの寄付を実施しています。その一方で、日本では5,000万円以上の収入がある方でも寄付の割合は約10%にとどまっています。 このように、寄付の習慣はアメリカに比べると日本はあまり根付いていない状態と言えるでしょう。もちろん日本とアメリカでは文化が大きく違うため難しいかもしれません。ですが、税制制度の見直しをおこない環境を整えれば、多くの方が進んで寄付できる環境になるでしょう。
また、寄付についてきちんと教育し、寄付に対する意識づくりをすることも有効だと言えます。そうすれば個々の意識が向上し、寄付が「特別」なものではなく「身近」なものになっていくでしょう。

まとめ

「寄付」と「寄附」、「募金」や「義援金」などの言葉は普段よく使われますが、それぞれ意味には違いがあることが分かりました。きちんと言葉の意味を理解して、使い分けることが大切です。
また、日本はアメリカに比べて寄付の額が少ないですが、それは文化や税制制度の違いが大きく影響していることが考えられます。ただ、現代の文化や税制制度はすぐに変えることはできませんが、意識を変えることはできるはずです。寄付をする人口を増やすために、まずは一人一人の意識改革をすることが重要です。