性別による差異について ―性別によるクロス集計から―  下記は、この調査に回答した人について、性別による差異があるかどうか、項目をこえて関連しあうこともあるのではないかという点から、 全体を通して見たものである。項目ごとにも、性別による差異や特色を記述しているので、詳細は各項目の記述をご参照いただきたい。 この調査は、日本の障害者について推計を出せるようなサンプリングをおこなったものではないので、この調査の回答者について言えることが 日本の障害者全般について言えるかどうかはわからない。また、比較対照に使える障害者統計や一般統計を探すことも、今後の課題である。 ◆この調査の回答者について ・性別比、年齢構成比 回答者のうち、女性は3分の1。65歳以上の回答者が占める割合は男性は21.2%だが女性は13.8%と少ない。 女性は、18歳〜64歳に、回答者の83.8%が集中している。女性のほうが、幼い時からの障害者の割合が大きく、 特に5歳以下でその割合が高い。かつ、20歳以上で障害がおきた人の割合が低い。 ・障害種別、手帳等級など男性は肢体不自由者、内部障害者、精神障害者、視覚障害者の順で割合が多く、 女性は、肢体不自由者、聴覚障害者、内部障害者、視覚障害者の順である。聴覚障害者は、女性障害者の中で14.9%を占め、 障害種別ごとに見たときに、唯一、女性の人数が男性を上回る(女性110人、男性91人)。このことは、回答全体を通じて、 情報・コミュニケーションに関する部分で、女性の率が高いことにつながっている。 身体障害者手帳所持者の割合は、女性が6.9%高い。2〜3級において女性が8%高い。精神障害者保健福祉手帳所持者の割合は、 男性が3.9%高い。1級で女性は8.4%高く、3級で男性が14.0%高い。 療育手帳所持者については、療育手帳B1で女性が5.7%高い。重複障害者の率は女性がやや高い。 性別ごとの年齢区分の割合 ・居住地、都市規模女性の率が男性の率を上回っているのは、大まかには、首都圏と、山陰、九州、四国の一部で、 都市規模による差異はあまり認められない。 ・住まい 「戸建て」では男性が9.6%高い。「公営住宅」、「民間のアパートやマンション」について、女性が4〜5%高い。 なお、「ひとりぐらし」の割合は女性が5.7%高い。 ・仕事 「仕事をしていない」は女性が7.3%高い。回答者の男性の約5分の2が、回答者の女性の約2分の1が、 「仕事をしていない」。「仕事をしている」は男性が6.9%高く、「自宅で働いている」について男性が女性を5.8%上回る。 ・外出 ほぼ毎日外出している人は男性が11.3%高い。「仕事をしている」率と関連があるとみられる。 週3〜4日の外出においては女性が6.7%高い。 ◆各分野の設問について ・移動・交通 自動車について「免許を持っている」は男性が16.1%高く、「ふだん車の運転をする」も、男性が16.4%高い。 16%は、この調査の中ではかなり大きな差にあたる。自分で自動車を運転し性別ごとの障害種別の人数と割合 (グラフの値(横軸)は人数。グラフ横の%は男・女ごとに占める各障害種別の割合)て移動できないことを背景に、 鉄道やバスなど公共交通機関を利用する人の割合が、女性のほうで高いことにつながり、結果全体に反映している。 「外出」の回答にあるとおり、「ほぼ毎日外出」は、女性が11.3%低いが、公共交通機関の利用は、共通して女性のほうが、 3〜9%高い(飛行機は例外)。そして利用率の差以上に「困ったことがある」率で女性の率が高い。 「困ったことがある」の内容は、物理的アクセスや設備面、乗車拒否で男性の率が高く、「案内表示、アナウンス」 「乗務員とのコミュニケーション」などで女性の率が高い。 「利用しなかった理由」について「必要がなかった」率は男性のほうが高く、「利用する必要があるが、設備や環境や条件、 介助が得られないなどの理由で、利用できなかった」率は、女性のほうが高い。 ・公共施設 「公園、体育館」「旅館、ホテル」の利用は男性が3〜9%高い。 「図書館」「映画館、劇場、遊園地」「銀行、郵便局」の利用は女性が3〜9%高い。「スーパー」「レストラン」「行政サービス窓口」 「病院、診療所」の利用ではあまり差異がない。「困ったことがある」は共通して女性のほうが高い。特に「スーパー」 「銀行、郵便局」は約10%差があり、日常的な利用頻度も反映しているだろう。 「困った内容」は、障害種別の構成を反映しているとみられる。たとえば図書館で「必要な障害者サービスについて調べる時、 利用する時」回答は、視覚障害者が、最も多い。アクセスや設備面で男性の率が、問い合わせなど連絡や応接、情報コミュニケーション面で 女性の率が高い。 「利用しなかった理由」で「必要がなかった」は、「スーパー、コンビニ、デパート」を除いて、男性のほうが高いかほぼ同率。 「必要な介助などのサポートや情報が得られなかった」は全ての項目で女性のほうが高い。 ・住宅住宅を探す段階で問題となる設備面を女性が挙げ、不動産屋や家主との関係で生じることを男性が挙げている。 住宅改造については、家主との連絡や資金については男性が主に携わっているようすがうかがえる。現行制度および社会通念上、 男性と女性が住む場合は男性が世帯主・契約者となることが多く、性別による社会的な取り扱われ方の差異が出ているとみてよいだろう。 ・生活用品 身の回りの日用品を「利用したことがある」は、女性が7.7%高い。「困ったことがある」では、「食料・飲料用品」、「家具・寝具」 「その他日常生活用品」で女性が3〜6%程度高い。「衣類」「食器類」で男性のほうが1〜1.5%高い。「趣味、娯楽用品」は、 差異がこの表の中で最も大きく、男性が9.4%高い。現状で「家事」を女性が担っていることの反映とみてよいだろう。 ・災害時、事故発生時などの緊急時の対応設問「災害や事故、緊急避難、犯罪被害など、急な対応が必要とされる経験をしたことが ありますか」について、「ある」は男性が2.4%高い。毎日外出する率の高さが関係しているかもしれない。 全体に障害種別の構成が反映している。 ・その他の情報提供どの項目においても、情報を「周囲の人から」得る率は、女性のほうが高い。「困ったこと」の内容は、 障害種別の構成・その中での性別比も反映しているとみられる。 ◆10年間の大まかな評価  設問「あなた自身にとって、次の分野はこの10年間で利用しやすくなりましたか?」に対して、男性が女性よりも比較的高い評価を 与えている分野は、交通、公共施設、住宅、生活用品、インターネットである。女性が男性よりも比較的高い評価を与えている分野は、 マスメディア、電話・携帯電話、コミュニケーション支援体制である。