Ⅲ 全体についての質問
市区町村の規模による差異について
―市区町村の規模によるクロス集計から―
この調査に回答した人について、住んでいる市区町村の規模による差異があるか、全体の傾 向を見たものである。前掲の「性別による差異」と同様、「調査結果」の各質問項目ごとにも、 その差異や特色について記述されているので、詳細はそれらの記述も併せて参照されたい。
◆この調査の回答者について
・全体の傾向
全体の傾向を改めてみると、回答者全体(2,191人)のうち最も多いのは、「人口概ね15万人 以上~100万人未満の中都市(以下「中都市」という)」に住む人の36.1%(791人)であり、以 下、「概ね100万人以上の大都市(以下「大都市」という)」が25.6%(561人)、「概ね5万人以 上~15万人未満の小都市A(以下「小都市A」という)」が20.0%(438人)、「5万人以下の小 都市B(以下「小都市B」という)」が16.6%(363人)と続いている。
・性別比、年齢構成比
男女とも、回答者全体の傾向と同じく、中都市、大都市、小都市A、小都市Bの順に多く住 んでいる。
年齢構成で見ると、0歳~17歳では、大都市に住んでいる人が最も多く(34.7%:17/49人) なっているが、母数も少ないのでこれが一般的傾向であるかどうかは分からない。18歳以上の 年齢層では、全体の割合と大差はない。
・障害種別、障害者手帳所持の状況など
障害種別の傾向をみると、肢体不自由者は全体で23.7%(518/2,191人)であるのに対し、大 都市に住む割合が最も高く、33.0%(185/561人)である。また精神障害者は、市区町村の規模 が小さくなるにつれて住んでいる人の割合が高くなる傾向がここでは見られる(大都市10.5% (59/561人)、中都市11.8%(93/791人)、小都市A 14.6%(64/438人)、小都市B 20.1%(73/363 人))。
精神障害者保健福祉手帳の所持者も、市区町村規模別に占める割合で見ると、市区町村の規 模が小さくなるにつれて高くなる傾向が見られる(大都市10.2%(57/561人)、中都市10.5% (83/791人)、小都市A 14.2%(62/438人)、小都市B 18.5%(67/363人))。
・住まい
「戸建て」に住んでいる人の割合は、市区町村の規模が小さくなるにつれて多くなっている。 (大都市49.7%(279/561人)、中都市66.1%(523/791人)、小都市A 74.5%(326/438人)、小 都市B 82.9%(301/363人))
一方「公営住宅」や「民間のアパートやマンション」に住んでいる人は、市区町村の規模が 大きくなるにつれて多くなっている。(「公営住宅」は、大都市11.2%(63/561人)、中都市7.3% (58/791人)、小都市A 5.9%(26/438人)、小都市B 4.1%(15/363人)。「民間のアパートやマ ンション」は、大都市29.1%(163/561人)、中都市15.8%(125/791人)、小都市A 11.0%(48/438 人)、小都市B 5.5%(20/363人))
「誰と住んでいますか」の問いを見ると、「ひとりぐらし」と答えた人は、市区町村の規模が 大きいほうが多い傾向がみられる(大都市20.7%(116/561人)、中都市13.7%(108/791人)、 小都市A 10.5%(46/438人)、小都市B 8.0%(29/363人))。
・外出
外出の頻度については、「ほぼ毎日」外出すると答えた人の割合は、市区町村規模が大きい方 が高い。(大都市で69.5%(390/561人)、中都市66.5%(527/791人)、小都市A 60.5%(265/438 人)、小都市B 56.1%(204/363人)
逆に、「週3~4回」以下の外出と答えた人は、市区町村規模の小さいほうがやや高い傾向が 見られる。
・仕事
いずれの市区町村規模においても、「仕事をしている」人の割合は50%台、「仕事をしていな い」人の割合は40%台であり、全体の傾向とほぼ変わらない。
仕事をしている人(1,190人)のうち、「自宅以外の会社や店舗で働いている」人は、全体で 41.3%(491/1,190人)であるのに対し、小都市Bでは31.7%(60/189人)でやや低い。一方、 「作業所・授産施設で働いている」人は、全体で29.1%(346/1,190人)であるのに対し、小都 市Bでは38.1%(72/189人)とやや高い。
◆各分野の設問について
・交通
鉄道、バス、タクシー、飛行機、車の利用の有無を見ると、いずれにおいても、市区町村規 模の大きいほうが「利用したことがある」人の割合が高い傾向が見られる。
利用して困ったことの有無を見ても、「歩道を歩いていて」の設問も含め、市区町村規模の大 きいほうが、「困ったことがある」と答える割合が高くなる傾向がある。
困ったことの内容(場面)を、鉄道、バス、タクシーという地域色のある公共交通機関で見 ると、バス、タクシーでは、「駅・乗り場や車内の設備」という設備面で困ったと回答した人の 割合が、大都市、中都市で高い傾向があるが、鉄道では、大都市の割合がそれほど高くない。
一方、「乗務員の応対、乗務員とのコミュニケーション」というソフト面で困ったと回答した 人の割合は、バス、タクシーでは市区町村規模による大きな差は見られないが、鉄道では市区 町村規模が大きくなるにつれて割合が高くなる傾向がここでは見られる。

「駅・乗り場や車内の設備」で困った

「乗務員の応対、乗務員とのコミュニケーション」で困った
なお「利用を拒まれ」て困ったという回答の割合は、回答者の数自体は少ないものの、鉄道、バ ス、タクシーとも、大都市、中都市のほうが小都市よりやや高い傾向が見られる。

「利用を拒まれ」て困った
・公共施設
各種公共施設を利用したことがあるかとの問いには、市区町村規模による差はあまり見られ ない。
一方、利用して困ったことがあると答えた人の割合は、市区町村規模の大きいほうが高くな る傾向が見られる。

「利用して困ったことがある」
利用して困ったことの内容については、一貫した傾向は見いだしがたい。
・住宅
「住宅を探したり、引っ越したことが」あると答えた人は、市区町村規模が大きい方が多い (大都市14.6%(82/561人)、中都市8.5%(67/791人)、小都市A 6.4%(28/438人)、小都市 B 5.8%(21/363人))。
しかしながら、「そのとき困ったことがある」と答えた人の割合は、大都市(76.8%:63/82 人)に次いで小都市B(76.2%:16/21人)が高い。
「住宅を改造したことが」あると答えた人は、市区町村の規模であまり差がみられないが、「そ のとき困ったことがある」と答えた人の割合は、市区町村規模が大きい方が高くなっている(大 都市40.0%(32/80人)、中都市39.7%(52/131人)、小都市A 32.9%(24/73人)、小都市B 29.8%(17/57人))。
・生活用品
「身の回りの日用品を使用して困ったことが」あると答えた人の割合は、大都市40.6% (228/561%)、中都市32.5%(257/791人)、小都市A 29.7%(130/438人)、小都市B 24.2% (88/363人)と、市区町村規模の大きい方が高い傾向がある。しかしながら、「使用して困った ことのある日用品」や、「困ったことは何ですか」の回答を参照しても、その理由がうかがわれ るような顕著な傾向は見られない。
・災害時、事故発生時などの緊急時の対応
災害や事故、緊急避難、災害被害などを経験した人の割合は、市区町村規模によって差は見 られない。
困ったことの内容については、「必要な情報が得られない」と答えた人の割合が、小都市A (50.7%:36/71人)、小都市B(49.1%:27/55人)で高い。「必要な情報が得られない」以外の 選択肢では、いずれも大都市に住む人が「困った」と回答した割合が高い。
・テレビ、新聞、インターネット、電話・携帯電話・ファックス
利用の有無については、インターネットでは、市区町村規模が大きいほうが利用の割合が高 い傾向が見られる。そのほかは市区町村規模での差異は見られない。
利用して困ったことの有無については、市区町村規模の大きいほうが、困ったと答えた人の 割合がやや多いようである。

「利用して困ったことがある」
「困ったことは何ですか」「利用しない理由」については、「必要なサポートや情報」「利用料 金」などの項目を見ても特に顕著な傾向は見られない
・コミュニケーション支援体制
手話通訳、要約筆記、盲ろう者通訳、点訳、音訳などの支援サービスについては、市区町村 規模による利用の有無に差は見られない。また、困ったことの有無については、顕著な差は見 られない。
困ったことの内容について見ると、「手話通訳、要約筆記、盲ろう者通訳」および「点訳、音 訳、拡大図書」では、「利用できるサービスが身近にない」という回答が、回答者の数自体は少 ないものの、市区町村規模が小さいほうが割合が高い傾向が見られる。
一方、「サービス事業者の守秘義務やプライバシーに関すること」との回答は、大都市、中都 市に多く見られる。

「利用できるサービスが身近にない」ので困った

「サービス事業者の守秘義務やプライバシーに関すること」で困った
・その他の情報提供
「行政からのお知らせや生活情報」「選挙に関する情報」「災害や事故、大きな事件などの情 報」を見ても、市区町村の規模による回答の傾向に大きな違いは見られない。強いて言えば、 情報を得る方法として「インターネット」を挙げた人は、大都市圏に多い傾向は共通している。 困った理由として手話、字幕、点訳、音訳などがないと答えた人の割合は、市区町村規模によ って特筆するほどの差は見られなかった。
◆10年間の変化
各分野がこの10年間で利用しやすくなったかについては、市区町村規模別による顕著な傾向 は見いだしがたい。強いて挙げれば、交通、インターネットでは、大都市、中都市のほうが、 小都市より「利用しやすくなった」という回答率がやや高いようである。一方、コミュニケー ション支援体制では、大都市で「利用しやすくなった」と回答した割合がやや低い。

この10年間で「とても利用しやすくなった」と「やや利用しやすくなった」の合計