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”障害者のリハビリテーションに関する調査研究と国際的連携のもとに障害者のリハビリテーション事業を振興することを目的としています。”

 

Ⅰ 生活環境

オ 災害時、事故発生時などの緊急時の対応

目次

問22 災害や事故、緊急避難、犯罪被害など急な対応が必要とされる経験

問22 過去3年間で、災害や事故、緊急避難、犯罪被害など、急な対応が必要とされる経験をしたこ とがありますか。

ある ない 回答なし 合計
328 1,792 71 2,191人
15.0% 81.8% 3.2% 100.0%
  • 「災害や事故、緊急避難、犯罪被害など急な対応が必要とされる経験をしたことがある」人は、全体の15.0%(328/2191人)である。
  • 障害種別でみると、平均より1割以上多いのが、聴覚障害者27.9%(56/201人)であり、視覚障害者10.9%(26/239人)は、平均よりやや少なく、知的障害者8.5%(16/188人)、発達障害者4.2%(2/48人)はかなり少ない。あとの障害種別はほぼ平均に近い。
  • 年齢別で「経験をしたことがある人」をみると、「0~17歳」では、少なめ(6.1%:3/49人)であり、「18~64歳」では平均的(15.8%:272/1720人)、「65歳以上」でも、やや少なめ(12.2%:50/410人)となっている。
  • 市区町村の規模別でみると、人口概ね15万人以上100万人未満の中都市居住者において、平均よりやや少なめ(12.8%:101/791人)、人口概ね100万人以上の大都市居住者において、やや多め(17.3%:97/561人)であるが、大きな差ではなく、特に傾向といったものも見られない。
  • 性別による差も、ほとんどみられない(男性15.8%:228/1446人・女性13.4%:99/740人)。

○全体として、「災害や事故、緊急避難、犯罪被害など急な対応が必要とされる経験をしたことがある」人は、障害種別・年齢・市区町村規模別・性別に関わらず、15%前後である。

問22-1 困ったことは何ですか。

困ったこと棒グラフ

  • 「困ったこと」として、半数近くの人が、「必要な情報が得られない(何が起きているのか、どうすればいいのか、など)」43.6%(143/328人)をあげている。続いて、「緊急時の救援体制が不十分」32.0%(105/328人)、「通報できない、自分の危険を周囲に知らせることが難しい」30.2%(99/328人)、「支援してくれる人がいない、すぐにみつけられない」29.0%(95/328人)が僅差で並び、「避難の連絡、誘導が不十分」26.8%(88/328人)、「避難場所や避難場所の確保が不十分」21.0%(69/328人)と続いている。
  • 障害種別でみると、「必要な情報が得られない(何が起きているのか、どうすればいいのか、など)」を第1位としたのは、聴覚障害者71.4%(40/56人)と視覚障害者50.0%(13/26人)であり、「緊急時の救援体制が不十分」を第1位としたのは、難病者46.2%(6/13人)と肢体不自由者36.3%(29/80人)である。「通報できない、自分の危険を周囲に知らせることが難しい」と「支援してくれる人がいない、すぐにみつけられない」を第1位とした障害はない。
    また、重複障害者は各項目にわたり「困ったこと」とした比率が高めであり(最大54.3%:19/35人~最低34.3%:12/35人)、内部障害者では、逆に少なめとなっている(最大27.7%:13/47人~最低10.6%:5/47人)。
    (障害種別によるクロス集計表:表36)
  • 年齢別では、「18~64歳」、「65歳以上」とも「困ったこと」は全体とほぼ同じ順位となっており、(「65歳以上」では、「緊急時の救援体制が不十分」が1位であるが(40.0%:20/50人)2位との差は1人である)。特に年齢による差はみられない。
  • 市区町村の規模別では、全区分において、「必要な情報が得られない(何が起きているのか、どうすればいいのか、など)」が、第1位、「避難路や避難場所の確保が不十分」が第6位であり、あとの項目も、ほとんど全体と同じ順序となっている。各項目を「困ったこと」としてあげている比率は、人口概ね100万人以上の大都市居住者がもっとも高い。ただし、各項目を「困ったこと」としてあげている比率は、「必要な情報が得られない(何が起きているのか、どうすればいいのか、など)」を除き、人口概ね100万人以上の大都市居住者に最も高く(単 純平均で9.1%)、人口5万人未満の小都市B居住者で最も低くなっており、全体としても、都市規模が大きいほうが、「困ったこと」を感じる比率が高くなる傾向が伺われる。
  • 性別では、男女ともほぼ全体と同じ順序で並ぶが、女性の2位には、「支援してくれる人がいないすぐに見つけられない」(男性28.1%:64/228人・女性31.3%:31/99人)となっており、「困ったこと」としてあげる比率も女性のほうがやや高めである(3.2%)。また、同じく女性のほうが比率が高い項目として、男女とも同じく1位であるが、「必要な情報が得られない(何が起きているのか、どうすればいいのか、など)」(男性42.1%:96/228人・女性46.5%:46/99人)がある(4.4%)。この2項目を除くと、男性のほうが、各項目を「困ったこと」としてあげている比率がやや高めとなっており(単純平均で3.9%)、最も差が開くのは、「避難経路や避難場所の確保が不十分」(男性25.4%:58/228人・女性11.1%:11/99人)である。

○全体として、障害種別と男女差により若干の順位の差があり、また、都市の規模が大きくなるほど、「困ったことがあった」比率は高めとなっているが、押しなべて、障害により必要となる災害時の情報保障と緊急連絡・救援体制が共通かつ一番「困ったこと」であるとされている。一般的な災害対策としての避難誘導や避難場所の確保に加えて「災害時要援護者の防災対応」が求められているといえるだろう。

問22-2 災害時、事故発生時などの緊急時の対応についての自由記述

問22-2 災害時、事故発生時などの緊急時の対応について、具体的にどのようなことで困りましたか。また、それに対してどうしましたか。その結果はどうでしたか。改善に向けたご提案なども含め、自由にお書きください。
  • 全体で、265件の回答があった。
  • 回答内容を障害種別でみてみると、肢体不自由者(56/265件:重複を除く)では、「町内や区や市で障害者の把握ができていないので、早期調査と救出方法などの通達を望む(女性、70代)」声や、公共機関による「災害時用(救援用)の名簿の作成(男性、50代)」、「災害時にすばやく障害者や高齢者への介助も含めた対応ができる拠点(男性、30代)」等の災害時要援護者のためのシステム整備を求める声が多い。また、「マンションのため、停電になるとエレベーターが使えず、階下に降りられない(女性、10代)」、「車からの脱出。歩行困難のため背負われて移動した(男性、50代)」など、障害者の地域生活及びその生活空間の広がりに応じた災害時の対応も求められている。
  • 視覚障害者(23/265件:重複を除く)では、「どこへ逃げたらいいのかわからない(男性、50代)」、「電車の事故で、情報が正しく伝わらなくて、どうしてよいのか困った(女性、40代)」、「災害時については、視覚障害者の避難所への誘導、避難所での生活圏の確保等きめ細かな対策が求められます(男性、60代)」といった災害・事故等の際の情報及びコミュニケーション保障と適切な避難誘導・避難場所の確保を求める声が多い。
  • 聴覚障害者(44/265件:重複を除く)では、災害時においては、「緊急又災害の情報が聴覚障害者には伝わらない(女性、70代)」ため「何が起きているか、どうすればよいのか聴覚障害者には不明(男性、50代)」になってしまう、という問題を指摘する声が大きな比率を占めている。また、事故等の際においては、110番
  • 119番通報が出来にくいことが多く問題となっており、その代替策についても、「110番通報にメール110番(ケイタイ)を使ったが、すごく時間がかかった。(女性、30代)」「FAX119番もあるが、利用しにくい。すばやくできない。119番メールがあると便利。(男性、20代)」などの改善が求められている。
  • 知的障害者(13/265件:重複を除く)・発達障害者(7/265件:知的・精神障害との重複を含む)では、「まだ体験していないが、ひとりの時に起ったらどうしていいかわからない(男性、30代)」、「グループホームは、夜は世話人がいないので、なにかあれば心配です。(女性、60代)」、「何かあっても一人では対応できない(男性、30代)」など、これから災害時や事故がおこったときの不安が多く訴えられ、その対策として、「(事故の際)こんなときだれか来てくれたらいい(男性、20代)」、「緊急時は介助者に訴えている(男性、40代)」など、見守り等の介助や人的支援を求める声がある。また、発達障害者は、記述の総数は少ないが、「避難所などでの共同生活は、できないので心配です。(男性、10代)」と、「そのような人たちや家族で集まれる場所を確保してほしい。(男性、10代)」と求める声が中心であり、実際に災害にあったが、自閉症の特性に配慮した避難所がなかったので、避難を断念したという家族の切実な訴えも複数あることには留意する必要がある(男性、10代で2件)。
  • 精神障害者(27/265件)では、「地しんに出会って電車が動かなく成ってしまい、帰るのに情報が少なくて困った。(男性、50代)」・「市営住宅老きゅう化の為、強風や大雨、地震がくると不安でしかたがない。(男性、50代)」という一般的にも多い訴えが中心となっているが、「じしんがあったとき、心が不安定になったので、心のカウンセリングをせんもんしょくの人がしてほしいと思った。(男性、30代)」とか、「骨折のとき、一般総合病院へ救急車で運ばれたが、精神障害を理由に治療を拒否された。(男性、40代)」などの精神障害の特有の問題の構造が垣間見える訴えも散見される。
  • 内部障害者(27/265件)の記述の多くは、災害時における医療的対応や補装具の問題で占められている。「インスリンが無ければ生きていけない。(男性、50代)」、「災害時、透析のことを一番心配します。(女性、50代)」あるいは、「食料よりオストメイトのパウチの確保が大切(男性、60代)」は、切実かつ具体的であり、災害時における内部障害者の医療体制の確保や必要な補装具の地域での備蓄体制が強く求められている。
  • 難病(9/265件)では、「薬の備蓄や、薬をもらえるところが少ない。特に特殊な薬において。(男性、40代)」など災害時の特殊な医療的対応に不安を訴える声のほか、「発作時に声が出せなくなるため(呼吸困難)どうやって、一人暮らしで緊急連絡できるか分からない。(男性、30代)」や「災害時、事故発生時に“置き去り”状態になる。地域で暮らす、当たり前に暮らすとは、何なのか?(男性、30代)」という訴えが目に付く。
  • 重複障害者(51/265件:発達・知的・精神障害の重複を除く)では、「一人では対応できないので、人の助けが必要(男性、10代、肢体不自由・視覚障害・知的障害・精神障害)」といった災害時の救出体制、「災害時避難所での生活ができるかどうか不安です。(男性、20代)」などの避難場所の問題、「人工透析治療中の災害について不安がある。(女性、40代、肢体不自由・内部障害)などの医療的対応など、各障害においてあげられた問題が網羅的に記述されている。

○全体として、「困ったこと」があっても、「すぐには動けない→あきらめた。(女性、50代、肢体不自由・難病)」といった結果に終わったため、その「困った」の経験から今後の対応のための施策を求めるという記述が多くみられる。大別すれば、災害時要援護者の名簿や救援体制のシステムの整備、災害・事故等の際のコミュニケーション及び情報保障と適切な避難誘導・避難場所の確保、薬やパウチの確保を含む医療的対応にわけられるが、その多くは、一般の防災対策ではカバーできない障害特有のニーズとなっており、災害時要援護者のための 施策の策定と推進が求められているといえる。