障害者のリハビリテーションに関する国際協力

国際リハビリテーション協会(Rehabilitation International:RI)への参加と事業推進

(1)RI本部に対する協力

RIは、93か国700団体が加盟し、リハビリテーションの専門家と障害をもつ当事者との交流を図っています。

(2)RIアジア太平洋地域委員会の活動

RIは世界に6つのブロックを持ち、アジア太平洋地域委員会は、国連ESCAP(アジア太平洋経済社会委員会)の作業部会のメンバーとして、国連ESCAPの諮問に対し、意見を述べています。

第3次「アジア太平洋障害者の十年」(2013-2022)の推進

国連ESCAPにおいて決議された第3次「アジア太平洋障害者の十年」(2013-2022)を推進するために、障害者団体・関係団体との連携を目的として設立された民間団体で構成する「アジア太平洋障害フォーラム(APDF)」への支援を行っています。APDFは、障害者の権利条約促進と「びわこミレニアム・フレームワーク(BMF)」およびBMFプラスファイブの推進を主な目標とし、さらに、2年に1回推進会議を開いて、「アジア太平洋障害者の十年」の推進に重要な役割を担っています。

JANNET(Japan NGO Network on Disabilities=障害分野NGO連絡会)への協力

国連ESCAPにおいて決議された第3次「アジア太平洋障害者の十年」(2013-2022)を推進するために、障害者団体・関係団体との連携を目的として設立された民間団体で構成する「アジア太平洋障害フォーラム(APDF)」への支援を行っています。APDFは、障害者の権利条約促進と「インチョン戦略」の推進を主な目標とし、さらに、2年に1回推進会議を開いて、「アジア太平洋障害者の十年」の推進に重要な役割を担っています。

障害分野の国際協力に関するセミナーの開催

障害分野における国際協力に関しては、政府、民間団体などによる活動を通して活発になってきています。当協会では、このような現状を踏まえ、国際協力を実施する上で大切な最新のトピックを取り上げ、セミナーの企画運営から開催までを手がけています。

国際研修事業

「障害者権利条約の実践のための障害者リーダー能力強化」コース(1986~2022年)

国際協力機構(JICA)の委託を受け、約1か月半の研修を実施しています。 2006年に採択された「国連障害者権利条約」は障害者の尊厳と権利を保障しましたが、多くの途上国では権利条約に即した各種整備が遅れており、障害者当事者自らが国内の法律や事業、制度の整備に関わることが求められています。

  • 本コースでは、障害当事者が障害者権利条約の実践に貢献できるように能力を強化し、障害者の社会的包摂を推進することを目的としています。
  • 障害者権利条約の基本となる障害者の権利と平等、障害当事者の政策策定への参画および社会参加への支援の取り組み、「障害と開発」の視点から、自国の障害者権利条約の実践と課題を共有すると共に、各国の障害当事者が国内外でネットワークを構築していくためのノウハウを学びます。

ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業

(公財)ダスキン愛の輪基金の委託を受け、リーダーを志す障害のある若い世代を対象に約10ヶ月間の研修を実施しています。アジア太平洋の各国・地域を対象としたこの研修事業は、日本の障害者福祉の現状を学び、自己研鑽の機会を提供することで、自国の障害者福祉の向上に寄与する人材を育成しています。
この事業がユニークなのは、完全公募で研修生の募集が行われること、各研修生の興味・関心に基づいて個別研修が実施されることにあります。また、約10ヶ月にわたる研修は原則として日本語または日本手話で行われるため、日本や日本文化への理解を深めることも可能となります。
研修修了生は国や地域、障害種別を越えてネットワークを築き、地域社会のリーダーとしての活躍が期待されています。

研究発表
交流会

日本財団アジア太平洋障害者フォローアップ事業(2015~2022年6月)

日本財団アジア太平洋障害者フォローアップ事業は、2015年より、日本財団の支援を受け、ダスキン愛の輪基金「アジア・太平洋障害者リーダーシップ育成事業」及び、国際協力機構(JICA)「障害者リーダーシップ育成とネットワーキングコース(現、障害者権利条約の実践のための障害者リーダー能力強化コース)」の一部の研修修了生を対象とした事業です。

2015年度事業では、研修生の活動状況や課題を調査し、その結果、研修生の多くが抱えている問題は、行政関係者や障害者団体、国際協力団体との繋がり作れず、活動に必要な支援を得られていないこと、また所属する団体職員の人材育成が上手くできず、運営能力や連帯感が低いために、団体活動の継続や向上が難しいことであることが分かりました。そこで本事業では「ネットワーク構築」に焦点を当て、研修生のエンパワメントや団体運営資金の獲得に向けたフォローアップを行っています。

2016、2017年度のフォローアップ事業では研修生を日本に招聘し、「効果的な情報発信」や「企画書の作成方法」、「組織マネジメントの強化」といったスキルアップを主としたワークショップを開催しました。2018年度は東京において、「アジア太平洋障害者連携フォーラム2019~社会を変える障害者のネットワークと日本の役割」をテーマにフォーラムを開催し、研修生が自国・地域で達成してきた活動成果の報告と、「ソーシャルビジネス」や「社会的投資」など活動資金を生み出す新たな方法を提示しました。

2019年度はパキスタンの研修生が設立した団体が事務局を担い、「アジア太平洋障害者連携フォーラム2019 in パキスタン~『チャリティから投資へ』障害者課題解決に向けた新たな視点を導入する~」を開催しました。研修生にフォーラム事務局を担ってもらうことで、研修生及び所属団体の運営能力の向上と、パキスタン国内での行政関係者、障害者団体、NGOなどとのさらなるネットワークの強化・拡大を図りました。またフォーラムでは、障害者団体の活動を持続可能なものにするための資金獲得を事前事業モデルではなく、ビジネスモデルの視点を取り入れた方法に変革することの提案がなされました。以上のようなフォローアップを本事業で実施しました。

パキスタンフォーラム開催後、参加した研修生が各国において、参加報告会を予定していました。しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、参加報告会の実施が困難な状況となりました。また、翌年の最終年度、2020年度事業として予定していたパキスタンフォーラムでの学びが、各国のリーダーを通じて、どのような広がりをみせるかという成果報告会の延長を余儀なくされました。

新型コロナウイルス終息の兆しが一向に見えないまま、2020年、2021年が過ぎ、その間も、各国の障害者団体のコロナ禍における活動についてヒアリングを行い、最終年度事業の実施内容の検討を重ねました。
日本に招聘しての開催は断念せざるを得ませんでしたが、2022年3月、オンラインで各国をつなぐ形で「アジア太平洋障害者連携フォーラム2022 withコロナ時代に蒔く、ソーシャルビジネスの種~日本からアジアへ」を開催。各国のリーダーが考えるソーシャルビジネスについて熱く語り合い、好評のうちに幕を閉じました。